展覧会を見に行きました。
昨日、一宮市にある旧林家住宅という、国の登録有形文化財を会場とした展覧会に行きました。「そこにある存在と記憶展」という、6名の作家が参加しているグループ展です。このたび出品作家の家原利明さんからご案内をいただきました。
家原さんはこのブログでも度々紹介させていただいています。主に色鉛筆を使って描かれたとても印象的な作品を発表されている岐阜在住の作家さんです。人柄もとてもユニークで、人を惹き付けるものをたくさん持っている方です。まぁ、一度会って話をしたら、その晩は高い確率で夢に出てきそうな人物だと書いておきましょう。
久しぶりに家原さんにお会いできると思いながら到着したのは旧林家住宅。
築百余年の古い日本家屋です。素晴らしいです。その隅々に細やかさを感じるしつらえ、それでいて遊び心も感じる不思議な造りの日本家屋と、説明など必要の無い、ただただ素晴らしい苔むす庭園。初めて知ったのが恥ずかしいくらいの場所でした。
旧林家住宅の間取りにおいて、一番奥の部分にあたる奥座敷が家原さんの展示スペースでした。
大型の襖や天袋として水性ペンキを使って描かれた作品と、パネルに色鉛筆を使って描かれた絵画作品があり、それらは座敷二間に展示されているとでも言いますか、配置されていると言いますか、溶け込んでいると言いますか、座敷のつくりに文字通り組み込まれており、部屋の調度の一部となっている印象でした。
会期は残り短いのですが、旧林家の奥座敷を体感してほしい気持ちでいっぱいです。ぜひ皆さま足をお運びくださいませ。グループ展ですので他の作家さんの作品もご覧いただけます。
いわゆるコロナ禍において停止していた展覧会などが、9月10月と動き始め、夏が過ぎた頃より徐々に作家さんから作品の額装でお声がけいただくようになりました。と同時に他方でまだしばらくの間は中止や延期も止む無しとされる作家さんがみえるのも事実です。
僕自身、作家の展覧会における作品発表の額装という面でのお手伝いは額縁店としての本懐だと思います。
ですから展覧会が開かれた折には都合がつく限りなるべく足を運び、その展示を体感したいと思っています。しかし、開催側からして、訪れる方に一抹の不安さえも覚えてほしくないという気持ちをお持ちなのはどの方も同じでしょうし、それが開催に二の足を踏む理由になっているという作家さんの気持ちも理解できます。
今後、展覧会の在り方がどのように変わっていくのか、予測できない部分は多いです。額縁店がこの時代に即して出来ることを変えられるかというと、それもまた分かりません。長期化していくコロナ有りの今、にコロナ無しの頃の記憶がだんだん薄れて行く気さえしてまいりました。
僕は心の持ちようを見つけるために展覧会に行っていたのに、今となっては逆になってしまった現状があるのかもしれません。
今週末はぜひ皆さま、一宮にある旧林家住宅に足をお運びください。心の持ちようが少しだけ楽になる機会になりましたらうれしいです。
家原利明さん参加合同展覧会
そこにある存在と記憶展
期間:2020年10月10日(土)〜25日(日)
9:00〜16:30 *最終日は16:00迄
一宮市尾西歴史民俗資料館 別館 * 旧林家住宅
愛知県一宮市起字下町211番地
0586-62-9711
駐車場有